今年は寒波が例年になく次々と襲来して、ここ福山でも厳しい寒さが続いています。東北や日本海側に住む人には申し訳ないほど雪は降りませんが、その土地なりの寒さに慣れた身には朝の冷え込みは応えます。
そのため、感染症の猛威が凄まじく、年末のインフルエンザがコロナに置き換わり、入院病床のひっ迫が継続しています。各病院、職員スタッフがこういった状況下で懸命に地域の方々の健康と命を支えている現実を知っていただきたいものです。
今、医療を支える体制の将来に対して大きな不安が生じている事をご存じでしょうか。
病院の医師は大学病院からの派遣が滞りがちになってきました。高齢になった開業医さんにも後継ぎは帰ってこず、医療を支える基盤の先行きは明るくありません。加えて最近の流行りことばに「直美(ちょくび)」というのがあるのをご存じでしょうか?
卒後臨床研修を終えた若い医師が直ぐに美容外科に進むことを指すそうです。長い修練期間もいらず、時間外勤務の負担もない就労環境が人気の原因とか。
私の学んだ外科などはかなり評価が低く、外科医はそのうちワシントン条約の絶滅危惧種指定を受けるのではと恐れています。この流れは若者の「立ち去り型サボタージュ」という現状への痛烈な批判ともとれます。
早急に手立てを講じないと、医療全体の崩壊を招くことになります。
この声が広く世の中に届くことを祈っています。
病院長 浜田史洋
立ち去り型サボタージュ:医療現場の過酷な労働環境を避けるため、若手医師が負担の少ない分野へ流出する現象