昨日、アメリカエミー賞作品賞の発表があり、俳優の真田広之さんが手掛けた「SHOGUN 将軍」が受賞しました。他に多くの賞を受け、正に総なめの状況を呈しました。
運よくこの作品を見る機会があり、私も毎週、固唾をのんで展開を鑑賞しました。全編日本語で英語字幕という、国内で見る洋画の真逆の設定でしたが、作品を深く伝えるために必須だと、制作契約時に真田さんがこだわったと聞きます。
関が原前後の日本を下敷きに、アメリカ人が書いた小説を元にしています。今まで描かれてこなかった、戦国時代の外国勢の勢力争い、その背景にあるカトリックとプロテスタントとの諍いが正確に描写されています。
日本文化、日本人の所作、日本人の価値観を事細かく丁寧に表しています。黒澤明監督が作品の中で日本人を題材にしながら、シェイクスピアにも通じる人間の生き様を描いたように、今回、真田さんは日本人の中にある普遍的な人生観を見事に描き切りました。
ネットの書き込みに、「日本の腹切りは野蛮で残酷な行為だと思っていたが、命に代えても表現すべき思いを勇敢に行い切る日本人の豪胆さに感銘を受けた」とあるのを見て、文化を超えて伝わる思いがあることを知りました。
現在大河ドラマ「光る君へ」が放送されています。当時の西洋は中世十字軍の時代で、読み書きができるのは一部のインテリだけで、小説など書く人もいなければ、それを読む人も存在しません。日本の文化的素養の広がりの深さは世界中で傑出した状況でした。そのことを日本人が知らないのは残念です。もっと日本を知り、日本に誇りを持ちたいものです。
病院長 浜田 史洋