暖冬のせいで早いと予想された桜も、何故か例年より遅く、新年度の行事に合わせて満開になりました。外国の方々には満開の桜は印象深いようで、この時期の旅行は人気があるようです。ソメイヨシノは世界に先駆けたクローン技術による植樹により増やされて、現在ある景観も先人たちのたゆまぬ慈しみにより出来上がったものです。ワシントンには日本より１００年以上昔に寄贈された桜があり、満開時には一面を桜色に染めて、それは美しい景色で市民を楽しませています。

一方で、桜の花びらが散る姿は、当地の人にはごみとしか見えず評判は良くないと聞きます。ひと時の花の盛りと、散りゆくさまの侘しさに美しさを感じる大和心は、日本人だけの感性かもしれません。桜の季節になると大好きな西行法師の詠んだ歌、「願わくば　花の下にて　春死なん　その如月の望月のころ」を口ずさんで日本に生まれたことを感謝しています。

病院長　浜田　史洋